本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年5月15日

 五月十五日 金 合田が九時頃ニ来た 同時ニ父上がお出ニ為つた 十時半から仕事ニ出かけた 昼めしハ御両親と一緒ニ食た めし後ニ父上ハ笄へお帰りなされた それから間も無く油画かきの安松富士太郎と云のが来て夕方近く迄居た 此の人の画ハ博覧会の時ニ見たが和蘭陀風の極奇麗な画だ 福岡の人で年ハ二十六歳 耳が遠いので話ニハ一寸難儀だ 今夜美術学校から手紙が来て嘱託教師ニすると云事が云て来た 今朝京都の堀江松華から逢合傘と云本が送つて来た 松華の著書だ

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