本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年5月10日

 五月十日 日 今朝久し振で少し日曜の心地がした 衆議院に行かずともよく又客も来ず 十時頃ニ朝めしを食ひ大工が持て来た絵図の調べ方などして昼に為た 二時頃ニ内を出て 一町目の郵便局で巴里のシヤルボへ注文品の手紙を出した それから久米が処ニ行き昨日愛輔が渡した金を持て行てやつた 暫く話をしてから笄へ出懸た J’ai raconté à papa ce qui s’est passé ces jours derniers, particulierement ce que Aïsouké et moi nous nous sommes dit hier. Je lui ai fait part aussi de la résolution bien ferme que j’ai prise. 鹿児島での能書家の話だの色々色々移つて西郷南洲翁又雲井龍雄などの話が出て中々愉快だつた 晩めしなど食てゆつくりして帰る 七丁目の橋口氏ニ寄つて十時前迄かたつた

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