本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年6月14日

 六月十四日 日 朝ハ大工の事だ何だので暇をつぶし昼めしハ母上とお幾と三人で食た 丁度めしの仕舞頃ニ合田と佐久間文吾とが来た 一緒ニ出かけ日本橋のはい原で壁紙の見本を買ひぶらぶら新橋の方ニ中通の道具屋を冷かしながら行て箱館屋でアプサントをのんだ 佐野と小代を攻撃し五人ニなつて飯倉ニ出てすしやで立食の御馳走をたべそれから又鰻屋ニ這入つて酒を飲で長く話をした 其末が菊地攻撃と為つた 菊地の内ニ上る前ニ横町の小さな牛屋ニ腰かけてラムネをのんだ 十一時過ニ別れた 菊地ハねむがつて閉口の様子ニ見へた

to page top