本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年6月28日

 六月二十八日 日 今日ハ随分あつかつた 寒暖計を見たら三十一度ニ為つて居た 今日も植木屋が来て終日仕事をして行た 午後一時半頃ニ合田が来て夕方の四時頃から一緒ニ出て赤阪で髪をつみ山王山ニ登つて茶見世ニ一時間計もねころびそれから菊地をたづね三人に為つて溜池の鰌屋でめしを食ひ隣の裏の家で芸者が一人で三味線をひいたりお念仏を云つたりして居るあハれ千万な処を見た 一時別れて新二郎の病気見舞ニ行き又橋口家ニ一寸立寄り再び合田と一緒ニ為り今度ハ十二時半過ニ見附下で別れた

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