本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年6月18日

 六月十八日 木 十一時頃ニ時事の寺山が来て室町時代の文化など云話をして十二時頃ニ帰つた 午後中村へ手紙をだし奴から先日評をして呉れと云て送つて来て居た油画の評を済まして送り返へした 四時半頃から合田の処ニ出かけ田中も一緒ニ三人連で山内の田中の内へ行き植木だの掛物などを見て田中ニ別れ合田と二人で品川ニ乗り込み極静かな穴蔵の様な料理屋で浪もなんニも無いどろつとした海を見ながら酒をのみめしを食た つなみやおばけの話が出た Hana saki と云一の名詞を覚へた 帰りハ汽車とした 新橋で氷をのみ内へ帰つて寝床ニ入つたのハ一時

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