本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年6月29日

 六月二十九日 月 雨だから植木屋ハ来ず 九時過ニ長田がやつて来た 十時頃から美術学校へ行き十二時半ニ精養軒へ行く そうすると岡倉氏ニ出遭つた 二時半頃まで食ひながら色々な話をした 久米の処ニ行たら長田がやつて来白百合の葬式の為ニオレが何か画をかくと云事を決して約束した 合田 菊地 佐野の三人がをいをいやつて来た 全体今日ハ三口の岩窟ニ集るはづだつたがこれハおやめニ為つた 菊地 佐野ハ今夜内ニ遊ニ来ると云約束で別れ合田と帰る 合田ニは見附下で別れた 今夜九時過ニ佐野が来て十一時頃まで話した

to page top