1896(明治29) 年6月20日


 六月二十日 土
 今朝起て見ると大雨だ おまけニ神鳴がなり上ら 十時ニ宮内省ニ出頭と云次第 従五位が正五位ニ昇進したのだ 昼めしニハいつもの人数ニおしげ お雪を加へた 午後三時から出かけて橋口氏から清秀の処ニ行た 清秀が病気だと云事を昨日聞たから其見舞ニ行た それから四時頃合田の処ニ行たら留守 狸穴ニ行たと云ので其方角ニ行た 都合よく佐野の内の角で出逢つた 其代ニ佐野ハ留守 小代を尋ねたら小代も留守 又久米ニ出逢ひ三人ニ為つた 溜池の処ニ来て佐野と小代ニ逢た 又菊地も見へた 牛鍋をやらかして皆が大ニ勢がよくなり遂ニ出来る丈安上りであばれると云事ニ決し直ニ実行 内ニ帰つてから来て居る手紙など読で一時半過ぎニねる