本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年7月29日

 七月二十九日 水 和田 岡田が来て奴等ニ洋行の見込ある話をした 又久米が来続いて伊藤源三が近頃台湾から帰つたと云てやつて来た 久米ハ昼前ニ帰り伊藤ハ二時頃迄居た 三時頃から美術学校ニ行き剣持ニ逢ひ根岸ニ行て岡倉氏と暫時話しそれから伝瑞院前の木下廣次氏ニ逢ひニ行た これ皆書生の洋行一件の為だ 夕方内へ帰つてめしを食て仕舞つた処ニ吉岡が来間も無く合田が来た 二人とも内でめしを食てしばらく雑談話をした 十時過に三人で内を出て山王山ニ行て十二時迄すゞんだ

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