本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年7月20日

 七月二十日 月 朝大雨 終日時々雨 風強し 朝一寸小督の下画に取りかゝつた これが今度のアトリエの中ニての仕事の初めだ 昼めし後合田の処ニ行き二時半の汽車で三口の岩窟ニ押しかけた 佐野も同じ汽車ニ乗つて来た 合田ニ電話をかけて一時間余たつて小代と合田がやつて来た これで大ニ勢力がついて面白く為つた 今日ハいつもの給仕娘ハ芝居ニ行たとかで亭主が相手ニ出て酒ニ酔つてとうとう仕舞ニ君だのなんだのと云様ニ為つた 佐野と小代ニ別れ十一時頃ニ汽車で東京ニ合田と二人で帰つて来た

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