本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年7月22日

 七月二十二日 水 風も今日ハやんで天気もよく為つた 朝十時ニ内を出て先づ西園寺氏を訪たるニ留守 天真道場ニ行き画を直し倶楽部ニ行た 東京倶楽部の新築が出来てから始めて行た 間もなく安藤が来て一緒ニ食事をした 三時ニ安藤と一緒ニ倶楽部を出て日影町を少し冷かした 芝口の通ニ煙草買ニ来る途中で佐野ニ出遇ひ奴ニ銀座の通で別れてオレ等ハ二人鉄道馬車ニ乗り上野迄行きレイキハウスに上り風呂ニ入りゆつくりした 景色ハよく風ハ透しいゝ心地だ 出品二有り 其内の一ハ遂ニ酔つて仕舞つた 十一時頃ニ此の家を出た 今夜ハ月ハよくすゞしくて妙 今夜ハ安藤の御馳走

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