1896(明治29) 年4月28日


 四月二十八日 火
 大阪の清永氏の弟の鬼塚六郎と云人が来て八時前ニ起された 十時過ニ長田忠が白百合第一号を持つて来た 昼めしを一緒ニ食てから帰つて行た 今朝京都の安藤からとお栄から手紙が来た 午後和田英作のおやぢがやつて来て画を見て行た 父上様が一寸お出ニなりいよいよ明後日から御肖像をかき始める御約束をした 母上様ハオレが神泉亭へ泊つた晩からお留守だつたが今朝お帰りなされた 又藤井氏おばあさんは昨朝樺山家からお帰りニ為つて居たが今晩石原家へ御出掛けなされた Se prepare-t-il l’evenement? O ! Comme il me fait atten-dre! A present je m’en fiche pas mal de ce qu’on dira. C’est très encourageant qui mon père a l’air de me comprendre.