本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年4月21日

 四月二十一日 火 (京都日記) 今日ハぼんやりした天気だ 九時ニ起きて荷造を始めた 十一時頃ニ中村が来又間も無く安藤が来た 十二時頃ニ三人で鳥居元ニめし食ニ行き二時五十分の気車で立つた 安藤ハ荷造の手伝などして呉れてステーシヨン迄送つて来て呉れた 又吉川泉一氏が荷と一緒ニステーシヨン迄先ニ来て居て呉れた 吉川氏ハ山科迄中村ハ馬場迄来て呉れた 中村ニ別れる時ニハ変な心地がした 段々東へ行程天気が悪くなり夕方ニハ霧雨ニ為つて来た 名古屋で女連の英人が下りたら今度ハ芸者を四人連れた紳士が乗つた 此の連中が浜松で下りたからそれから先ハ楽ニ寝る事が出来た

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