本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年3月26日

 三月二十六日 木 今度洋行スル朝比奈氏ニ紹介して貰ふと安藤ニ約束して置たから今朝朝比奈氏の処ニ出掛けて行つたら安藤が出て来て留守だと云た 其処で安藤をお栄をたづね奴を引出し三人で清新軒で食ひお栄ニ別れ一寸朝比奈氏ニ立寄り面会して直ニ車で上野ニ行た 写真を少し見てから岡倉氏の内へ行て建築ニ付ての話などした 夕方久米合田と三人でめし屋をさがして居た処ニ井上良雄ニ出遭ひ奴の案内で日本橋の菊の家と云のニ行た 芸者なども来て盛な事ニ為た 内へ帰つたのハ一時半頃だつた 今夜酒の席で藤島武二の友人須田と云法学士と知り合ニ為つた

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