本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年3月23日

 三月二十三日 月 農商務省ニ博覧会の賞牌を貰らひニ行きそれから久米の処で菊地ニ出遇ひ三人連で清新軒ニ昼めしを食ニ行き後京橋から車で上野美術学校ニ行たら岡倉氏ハ帰つたあと 其処で先生の私宅迄行て逢ひ建築の事や規則の事を話なしそれから浅井をたづねたが留守 小山の処ニ行たら奴ハ内ニ居たから引出して根津の神泉亭ニ行きめしを食た 今夜雨が益盛ニ為つて来た 十一時半から小山と相乗で市中を散歩して帰つて来て小山ニ別れ今夜ハ此の神泉亭ニ一泊 京都の神田川の出店ニ居たお角さんと云女ニ逢つた

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