1896(明治29) 年4月25日


 四月二十五日 土
 朝八時頃ニ起きて風呂ニ入り中村氏へやる手紙などかきおしげを呼で京都の話などし車ニ乗つて出掛けた 長原ハ留守 小山ハ居た 小山ニ神泉亭の払を頼で置て一緒ニ出かけて浅草のパノラマを見 一直で昼めしの御馳走ニ為つた 此の時ニ非常ニ雨が降つて来たがめしを食て出る時ニハ上つた 十二階ニモ登つて見た 小山ニ別れて車ニ乗り七丁目ニ行た 新二郎の処ニモ行つてしばらく話し夜食ハ橋口家にて御馳走ニ為る 一人で天神の市など見て九時頃ニ帰る 帰つて見たら京都の中村 安藤等からの手紙が来て居た 其返事など書いて十二時頃ニ寝る