本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年1月31日

 一月三十一日 金 (京都日記) ストーブ屋が来て煙筒の掃除をして居る音ニ目が覚めた 未だ面を洗ハぬ内ニ大八木が来た 此間来た時ニ歌の中山のゆわれを悉しく書たものハ無いかなどゝ云話が出たので都名所図会を持て来て見せて呉れたのだ 間も無く恩順師も来た 十二時ニなるかならぬニお栄が三代子とやつて来た 恩順師と三代子を手本ニ夕方迄勉強す 今日ハ中村も来て仕事した(nature morte) 夜ニ為つて九時半頃迄中村 松原と三人でくだらぬ話などしそれから散歩がてら四条を京極へ三条通まで行きボール紙を買ヒ又四条へ出て三代子と約束して置た香水などを今井でかつて帰つた

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