本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年1月24日

 一月二十四日 金 (京都日記) 今日ハ舞子の画をかく事ニ極めて皆其手続をして置た 其事を聞たと見へて幾代がふと十一時半頃ニ来た 間も無く中村が勉強ニやつて来た 昼後二時過ニお栄が三代子を連れて来たから直ニ仕事ニ取りかゝつた 又今日ハ仕事の暇ニ貴島氏から頼まれた短冊掛ニ水仙の画をかく 丁度其画が出来上つて居た処ニ貴島氏が見へたので大ニ都合よし 此時ストーブ屋が来て掃除の最中 此のストーブ掃除の為ニ本当の仕事もだめと為つて仕舞つた 安藤も来た 間も無く日が暮れかゝつたので女連を先づ帰して置き夫れからオレハ弁当を食ひ散歩がてら安藤と中村ハめしを未だ食て居ないので麩屋町の松葉亭に入る 此処で女話を聞き又盛ニ美術を論じ四条通を散歩して皆ニ別れて帰つた時ハ十一時頃 十二月十六日附の竹公の手紙を受取る

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