本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年1月19日

 一月十九日 日 (京都日記) 岩佐恩順師を手本ニ頼で終日木炭画を勉強した 二度のめしとも平野屋から取り寄せて食ふ お昼前ニ安藤が一寸来た 奴ニ今度東京から送て来た鮭をやる 五時半頃ニ仕事を仕舞つて部屋の隅の机ニよつて晩めしを食て居た処ニ君勇がひよつと面を出し這入つて来た 此の者は今ハ誰かの所有物で新門前とか云処ニ住で居るとの事 暗く為つてから又安藤がやつて来て不相変面白い話ニ時をうつす 後奴が帰るのを送つて散歩ニ出掛く 四条通の室町の辺でうどんやニ入つてうどんをたべそれから安藤ニ別れて松原と内へ帰つた時ハ早十一時頃也

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