本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年1月21日

 一月二十一日 火 (京都日記) 今日よりめし屋をかへて小堀の西洋料理屋勝栄亭より食物を取り寄する事とした 一皿十銭と云約束で昼が二皿晩が三皿と極めた 午後一時半頃ニ恩順師が来て五時頃迄仕事をした 夜が入つて間もなく中村と吉川氏が来た 吉川氏ハ七時何分とかの汽車ニ乗ると云て帰 中村と隣の敦盛と三人でストーブにあたりながら四方山の話をし九時半頃ニ為つて皆が散歩に出掛け先斗町の千鳥と云うどんやニ立寄りそれから京極ニぬけ三条へ出此処で中村ニ別れ敦盛と二人で三条橋を渡りて帰る 今夜ハ此の京都ニしてハ随分寒い内だ 併し去年の従軍の時ニ比すれバ何の屁でもない

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