本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年1月28日

 一月二十八日 火 (京都日記) 朝九時頃ニ横山どんのおばさんがお出ニ為つたので起された 先日鹿児島から横山さんが東京へお帰りがけニ此処ニおよりなさると云事が手紙で知らして来て居たからさほど驚かず 今日ハ画ハ丸でおやめニして名所御見物の案内者と為る 清水からあの方面を総て見て東西本願寺迄行た 一時頃ニ平野屋ニ車を入れさした 今日ハ終日雪が時々降つて昨日とハ気候が丸でかはつて寒い 平野屋から手紙で尾張の巡査お栄と舞子の三代子を呼び寄せ皆と梅ケ枝ニ行く 中村 松原等も平野屋から一緒 芸者も一人梅ケ枝ニやつて来た 八時頃ニ同処ヲ立出て横山婦人ハ帰られたり 僕等ハそれからお引連で縄手の鳥新でめしを食ふ

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