本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年1月13日

 一月十三日 月 (京都日記) 朝めしなど云ヒ付け酒など少し飲で尾張楼を出た時ハ早十時半頃 松原敦盛と相乗で三井銀行へ押かけ三十両丈せしめ夫れから中村方へ行き借金を払ひすしや御茶漬の御馳走ニなる 三時頃ニ内へ帰つたらお栄が手本を連れて来て待て居た 今日の仕事ハ丸でお話ニならず 内へ帰つて未だ画を始めぬ内ニ吉川嘉平が台湾から帰つたと云てやつて来た 夕方安藤が来て敦盛ら女二人都合五人で前の平野屋ニめし食ニ行た 安藤ハ大機嫌と為つた 食後又皆内へ来て十二時過迄居て帰つた 敦盛とオレと安藤を四条の小橋迄見送つて行て帰る

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