1897(明治30) 年1月2日


 一月二日 土 (房総旅行記)
 今日の天気は半分日の当つた様な変な天気だつたが夕方近く為つてやゝつゞいて日が当つた 朝ハ五人連で百尺崖にかきニ行た 午後ハ皆別れ別れニ為つてかいた オレハ田舍家の正月の様子をかいた 高島ハ夜食ニ帰らず何処近所の村ニでも行たものと見へる
 夜食の時ニ安仲よりの手紙と矢口村の連中からの手紙が届た 矢口村連の川崎へ進軍した処の画や発句ハ真ニ迫つて居て実ニ笑つた 佐野から来た手紙と一対だ 佐野ハいかにも残念な事をした 四天木までわざわざやつて来て空しく引返へしたとハ残念だ