本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1897(明治30) 年1月18日

 一月十八日 月 今日ハ又雨だ しかも強い雨だ 少しねすぎたから大急ぎで仕度をして二人引で飛ばした 十一時頃ニ学校ニ行着いて教場を見廻り十二時頃ニ為つて校長ニ逢ひ岡田の病気の話などした 直ニ内へ帰つて今日ハこれから出る勇気ハなくテイヌの伊太利の旅行の本を引出して少し読だ 父上がお出ニ為つてストーブの前で去年の末ニ京都で受取つた不思議な手紙ニ付ての処分のお話が有つた 今日京都の中村からも亦岡田の看病に行て居る石尾ため(岡田の母様カ)から通信が有つた 台湾の白尾氏からも手紙が来た 夕方風呂ニ入り夜中村や台湾の白尾氏への返事等をかいた 夜雨ハ止んでいゝ月夜ニ為つた

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