1896(明治29) 年4月13日
四月十三日 月 (吉野紀行)
朝酒屋の坪内から銀行へ行た 用を済ましそれから中村の処ニ行き一緒ニ松葉で昼めしを食ひ午後一時頃ニ二人で出かけた 伏見迄電車ニ乗り伏見の茶見世筑紫亭で一時間程休みそれから二時四十二分の気車で木津迄来た 木津から人力で奈良に着たのハ丁度夜の入る頃 三景楼に泊る つるいとねると蚊が出て来て手を食ひ上つた 之レが今年の蚊ニ食ハれ始也
四月十三日 月 (吉野紀行)
朝酒屋の坪内から銀行へ行た 用を済ましそれから中村の処ニ行き一緒ニ松葉で昼めしを食ひ午後一時頃ニ二人で出かけた 伏見迄電車ニ乗り伏見の茶見世筑紫亭で一時間程休みそれから二時四十二分の気車で木津迄来た 木津から人力で奈良に着たのハ丁度夜の入る頃 三景楼に泊る つるいとねると蚊が出て来て手を食ひ上つた 之レが今年の蚊ニ食ハれ始也