1896(明治29) 年12月31日


 十二月三十一日 木 (房総旅行記)
 今日は晴とまでニハ行かずはだもちは寒い方だ 朝小浜から大東の岬の方へ向つて画をかき午後は三時頃より百尺崖の画をかき夕方ニ為つて田圃の夕ぎりの具合をかいた 帰る時ニ道を間違ひ村をまごまごした 夜そばなど取よせて食つたが一向甘くなかつた 久米や小代が年頭の手紙をかくのでオレも鎌倉や東京ニ出す手紙を二本かき其ほか名札を三四ケ所ニ出した