本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年12月5日

 十二月五日 土 (京都日記) 今朝起て見たら如意獄ニ雪が積て居た 北の方ハ雲ニかくれて見へず 比叡の雪ハ一層だろう 市中ハ雨だ 雨ハ朝の内丈で晴れたから十一時頃から安 中と一緒ニ出かけ蔵八を始銅器の見世や古道具屋を処々冷かし二時頃ニ寺町の松原でそばを食ひ三時過から方針を島原ニ取つた 例の角屋の古代座敷で至極まづい面の芸妓三人を並べて鳥なべを食ひ八時頃まで居て帰る 京極から祇園町を散歩して宿屋ニ帰つたのハ九時過だつた バンブーニも一寸腰をかけた 杉へ手紙の返事を出す

to page top