本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年2月13日

 二月十三日 木 (京都日記) 朝起てから昼迄ハ諸処へ出す手紙をかいた 昼ニ為つたら手本のおうのが来三代子も一時頃ニお栄ニ連れられてやつて来た 二人の娘つ子を見て夕方迄勉強した 今晩三代子と玉葉とへ四条の芝居見物をゆるした 夜食後松原と京極迄散歩し帰りがけニ三代子等の行て居る四条の芝居ニ一人十銭の割込みと云ふのニ入りいがみの権太が死ぬ処の幕を一つ見た 芝居を出たのが十時半頃でそれから小堀の西洋料理屋ニ寄り日本酒をのみ牛肉を日本風ニさして食つて帰つた 今夜ハ又雪の様なものが少しづゝ降て居る 今日ハ終日中村が見へず Je ne sais pourquoi, c’était une journée très enervante aujourd’hui.

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