本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年2月21日

 二月二十一日 金 (京都日記) 今朝ハ昨日の朝より雪が一層つよく降つて居たが地ニいくらも積らず 車ニ乗つて五条の石炭屋から三条の郵便局へ行き堀のさきの方の薬屋迄廻り十二時頃ニ帰つて来た 一時過ニ三代子と玉葉が巡査なしニやつてきた 仕事を始めて居る処に安藤が話に来た 五時頃迄勉強して夫れからだれやめニ酒を飲み始めたが安藤の懇親話ニ勢がつき七時頃ニハ随分酒もまわつた 三代子ハ去り独りのこつた玉葉を連れて三人連で散歩と出掛け遂ニ一力亭ニ入る事と為る 今夜の出品ハ小袖 小梅 お通で不愉快な分子ハ無くお春さんの面白き話を聞きなき婆をひやかしなどして一時半頃ニ内へ帰る 今日夕方 Paris-Noël が一冊届いて来た 誰が贈つたのだと思つたら Bruce 氏から来たのだ Je suis profondément touché de son amitié.

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