1896(明治29) 年2月24日
二月二十四日 月 (京都日記) 今日ハ終日雨だ 気候ハ昨日から一寸暖かニ為つたが今日ハ又昨日より暖かだ 玉葉が一人巡査附でやつて来て夕方迄仕事して帰る 夜食後 Paris-Noël など読だりして見たが天気が悪いせいか中村もやつて来ず 淋みしいので七時半頃から雨をも構ハず散歩ニ出掛けた そうするとなんだかいぢわるく雨が段々強く為つて来るようだ びつたりぬれて尾張楼ニ雨宿がてらニ立寄る 二階で三代子やお三代ちやんナドを相手に鞠なげ目かくし又両方の足の首を手拭でしつかりくゝり一人ハ太鼓を持ち一人ハ太鼓のむちを持ち逐ひかけつこをするのなどをして十時半頃迄遊んだ 帰る時ニハ雨ハ少シ小降ニ為つた