本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1896(明治29) 年2月20日

 二月二十日 木 (京都日記) 夜の内に積だのか世間ハかなり白く為つて居る そうして未だ降り止まず 十二時過ニ中村がやつて来た 又しばらくして三代子とお栄巡査が来間も無く玉葉も来た 其処で三代子と玉葉を代る代る手本ニして油画をやつた 中村ハ此間中から引て居た風が今度の丹波行で少し重く為りせきが今日などハしきりニ出るので三時頃ニ帰つて行た 夕暮ニ手本連が皆帰つて仕舞つたあとハ大ニ淋しく為た 晩めしを食時ニ静雄君が話相手ニ為つて呉れた それから散歩ニ出掛け雨ニ降られてびしよぬれニ為つて九時半頃ニ内へ帰つて来た 静雄君が手伝つて呉れてアトリエの道具片附ケなどした 松原が神戸からよこした手紙を今夜受取つた

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