1896(明治29) 年2月6日


 二月六日 木 (京都日記)
 今朝ストーブの掃除ニ目がさめた 十一時半頃ニ恩順師がやつて来た 十二時過より仕事を始めた 娘つ子も一時半頃ニ来た 今日ハ油画計やつた 又幹山が佐々木某と云奴の金資元をして居る本願寺の坊さんを案内してやつて来た 仕事をしながら暫時話をしてかへした 今日ハ敦盛の誕生日と云ので奴が平野屋から酒肴を取り寄せて晩めしニ御馳走をした 今日ニ限つて中村が見へないから呼ニやろうとして居る処ニやつて来た めしを食ながら昨日の愉快を話し会つて笑ヒ後散歩ニ出懸け京極の俄芝居を見て十一時半頃帰る