本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1895(明治28) 年1月29日

 一月二十九日 雪 (従軍日記) 今日四時過に孟家庄迄行けと云命令が下つたニ依り朝起ると直ニ荷造をして出立仕度ニ及びたり 孟家庄と云処ハ僅カ一里半計の処と聞きたれば余り早くも立てず昼過ニ出懸く 昼めしハ渡ラヌノデ芋のうでタノヲ食てごまかす 孟家庄ハ橋頭集より半道計の処也 余りニ早クツイタ故二師団の陣所ナル張家口子と云処を見ニ行 孟家庄の西北一里余の地ニして谷川ニ沿ふたる村ニて山の麓ニ在り 今朝五時頃より二時間程戦ふたる由かたるを聞いたり 先程孟家庄の入口にて村田少佐ニ逢ふ

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