本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1895(明治28) 年1月15日

 一月十五日 朝雪 (従軍日記) 今度ハ地が白く為る迄降りたり 其御蔭で気候が少し暖かなり 今朝林君と市ニ出で其序ニ郵便局ニ立寄りたるニ局の役人櫻井豊太郎と云人ニ逢ふ 此の人父子歌よみにて父上様を知て居るとかにて此処ニ来る前ニ内ニ立寄てくれられたりとの話 オレの刀の鞘が余り光つて居つて立派過るから木綿の布を買つて鞘を包む オレが昨日からしきりに針仕事をするので裁縫臣五位だなど云て皆が笑ふ

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