本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1895(明治28) 年1月12日

 一月十二日 (従軍日記) 今朝又司令部ニ行 丁度管理部の処の門ニテ出逢ヒ国より帰れと云手紙来りたる旨ヲ云ひたるニマア第二の戦争ヲ見テから帰る方がよからうと云ハれ成程と思ひ即ち其事ヲ極ム 午後林君同道二連隊本部の吉田少尉ヲ訪ひ先日写したる氏ノ肖像ヲ与へて又別ニ肖像ヲ写し帰る 伊瀬地連隊長モ在宿 夜ハいつもより酒の廻りがよかつたと見へ皆々はづみ議論中々やかまし オレハめしヲ食てから一と先引込み少シ勢がしづまつた時分ニ面出シたら中々面白クナツテ居た 天鉄翁が小梅とのろけ山芳がにくにくで其レヲ征伐スルなど天鉄が云如くそれこそ腹の皮がよれたわい 日本へ戦後ニ帰る云々ヲ通ズ

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