1892(明治25) 年9月12日


 九月十二日 月 (ブレハ紀行)
 天気がいゝから朝十時頃から画をかきニ出る 昼後ハ気分よろしからず 用心の為一旦久米の部屋ニ独で引込で居て長田ニやる手紙ヲかくやら昨夜見た海上の月景色ヲかくやら小説をよむやらして暮す お英さん一連今朝九時頃ニ立て行たので宿屋の部屋が一つ明た 久米公の指図で今夜から其部屋ニオレがねる事と為る ねる前ニ床の中ニ居て茶など飲でやつた