本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1892(明治25) 年9月13日

 九月十三日 火 (ブレハ紀行) 終日内ニ引込で居タ 気分ハそんなに悪くネへが熱が有ツテ困る 下女の周旋で薬を売る尼がやつて来た めしハ昼も晩も久米公等と部屋ニ取り寄せて食ふ ちようど夜食を食て仕舞ふと云時分ニ青ン僧爺やニ娘三人連で這入込で来た 爺やがあすの朝立つので暇乞ニ来たのだ 青ン僧が例の達者口で九時半頃迄もしやべつて行た 後例の如くお茶ヲ頂く 又尼ちよがくれたキナを下女が飲まして呉れた 西洋ニ来てから今日始メテ本当の薬ヲ飲だ

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