1892(明治25) 年11月9日
十一月九日 水 朝十時ニ古巣の処ニ行き奴をオレの画部屋に連れて来てオレのかきかけの肖像ニ付意見を聞く ひるめしハ鞠の処で羊の御馳走也 ひる後ハ霜菜を手本として勉強す 古巣の説ニ従ヒ地の色を変ゆ 今朝の使で十月六日と七日附の御両親様よりのお手紙が着た オレが送た此年の共進会ではねられた肖像が着たのハいゝがあんまり皆様のお気ニ入らないとの事余儀なき話とハ云ものゝあてがはづれて面白き心地せず 今夜は外ニモ不出手紙も書かず書物を読だ 村ニハ寄せ芝居が有るとの事
本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。
十一月九日 水 朝十時ニ古巣の処ニ行き奴をオレの画部屋に連れて来てオレのかきかけの肖像ニ付意見を聞く ひるめしハ鞠の処で羊の御馳走也 ひる後ハ霜菜を手本として勉強す 古巣の説ニ従ヒ地の色を変ゆ 今朝の使で十月六日と七日附の御両親様よりのお手紙が着た オレが送た此年の共進会ではねられた肖像が着たのハいゝがあんまり皆様のお気ニ入らないとの事余儀なき話とハ云ものゝあてがはづれて面白き心地せず 今夜は外ニモ不出手紙も書かず書物を読だ 村ニハ寄せ芝居が有るとの事