1904(明治37) 年11月17日

昨日から今朝にかけて号外の声が聞えた。籬の残菊という風で、余り景気のいゝ呼び声でもない。事件は旅順から駆逐艇が一艘芝〓へ逃げ出した事でそれが自ら爆沈したという丈である。何しろ旅順の長引くには大に一般の人気に関するやうである。其割に株はまだ辛じて直段を維持して居るやうなり。

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