本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1897(明治30) 年3月10日

 三月十日 水 風強し 朝からモデルが来て居たけれどもストーヴの煙出しがこわれたり又台湾から帰つて来た重野と云人が伝言を云ひニ見へたりかれこれで仕事せず 午後丈勉強した 今日ハ新たに裸を一枚始めた 四時頃ニ杉が来 一緒ニ米福ニめし食ニ行き佐野の処へ車を迎ニやり佐野が来た 又吉岡が尋て来た 後溜池で二十一をやる 途中で合田ニ出逢ひ奴も一緒ニ為つて面白く二十一が出来た 佐野と二人が居残りと為つて一時半過ニ内へ帰る 風ハ止まず

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