1913（大正2） 年5月21日
五月二十一日 水 曇 父上様ト御一緒ニ午餐ヲ取ル 午後三時頃儀我保太郎君来訪 十時清水谷苔香園ニ開催ノ高見馬場会ニ出席 九時半頃帰宅
本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。
1913（大正2） 年5月22日
五月二十二日 木 晴 自午後一時至三時高商授業 即今日ヲ以テ最終ノ授業トス 帰宅後少シク菊池氏ヲ描ク 照始メテ久米夫人ヲ三田邸ニ訪問ス 夜平田千秋来ル
1913（大正2） 年5月23日
五月二十三日 金 晴 午前美術学校ヘ出勤 精養軒ニテ午餐 此処ニテ照ト出合ヒ共ニ浅草宗円寺 寿松寺ヘ墓参 帰宅後照ハ長谷寺ヘ行キ拙者ハ画室ニ入ル 夜笄町ニ伺候セリ
1913（大正2） 年5月24日
五月二十四日 土 快晴 今朝六時小倉翁死去ノ旨月谷ヨリ通知アリ 午後月谷 菊地 合田拙宅ニ会合 葬儀墓地等ノ事ヲ相談セリ 四時黒田清永ヲ木挽町ノ旅宿ニ訪ヒ七時新橋発京都ヘ向フ
1913（大正2） 年5月25日
五月二十五日 日 晴 （京都日記） 午前七時過京都着 先ヅ円山平野屋ニテ朝飯ヲ済マセ高台寺下松ノ家別荘ニ入ル 午後寺町通ヨリ新京極四条通等ヲ散歩ス 夜中井及数寄屋匠上坂某来訪
1913（大正2） 年5月26日
五月二十六日 月 晴 夜雨 （京都日記） 午前十一時頃岩村君来 共ニ都ホテルニテ昼食 後チ山本 竹内 都路ノ三氏ヲ歴訪 即チ以上三氏ヲ招待シテ木屋町大津屋ニテ小宴ヲ開キ竹内ハ差支アリテ来ラズ
1913（大正2） 年5月27日
五月二十七日 火 （京都日記） 午前十時過岩村君ノ電話ニ接シ同君ノ宿所木屋町中村屋ニ到リ竹内氏ト会合ス 後岩君ト京都ホテルニテ昼食ヲ取リ三時過又山本氏ヲ訪ヒ打合ヲナシ夫ヨリ菊池 谷口ノ二氏ヲ訪問セリ 夜三条小橋布袋屋ニ沼田氏ヲ訪フ
1913（大正2） 年5月28日
五月二十八日 水 晴 （京都日記） 午前十時過岩村 藤島二君来訪 藤島君ハ奈良ノ帰途当地ニ立寄リタルナリ 即チ照モ同道四人連ニテ五条阪ヨリ寺町通ヲ歩キ回リ夜半帰宅ス
1913（大正2） 年5月29日
五月二十九日 木 雨 （京都日記） 岩村君ト三人連ニテ京都ホテルニ於テ昼食ヲ為ス 先是照ト寺町ノ五条辺ニテ灯籠ヲ購ヒ又二三ノ銅器店ヲ冷カシタリ 食後ハ三人ニテ今古堂ニ赴キタリ 夜結城 沼田 藤島等ト美濃家ニ会合セリ
1913（大正2） 年5月30日
五月三十日 金 （京都日記） 午前二時半帰宿 午後三時頃ヨリ外出 澁谷氏ヲ訪ヒ後岩村氏方ヘ行キ三人連ニテ五条坂蔵六 道八 与平等ノ店ヲ覧ル 蔵六ノ芸術家的生活ニ感ジタリ 赤松 當舎 菅原 山内等ニ逢フ
1913（大正2） 年5月31日
五月三十一日 土 （京都日記） 午前一時半帰宿 午餐ニ中井 當舎ノ二名ヲ招キ花見小路菊水ニ到ル 三時半頃一ト先立戻リ四時過ヨリ岩村 中村同道四人連ニテ五条阪ニ蔵六ヲ訪ヒ観音像ヲ購ヒ東洋軒ニテ食事ヲナシ京極ヲ回リ小町寿司ニ入リ十二時頃帰宿ス
1913（大正2） 年6月1日
六月一日 日 （京都日記） 午後一時頃中井氏ノ案内ニテ野村氏ノ別荘ヲ覧 二時四十七分京都発大阪ヘ赴ク 予定ノ如ク朝日新聞主筆西村天囚君 毎日ノ主筆菊池幽芳君及野田 赤松 山田ノ三氏ヲ招キ晩餐会ヲ開ク 岩君モ列席セリ
1913（大正2） 年6月2日
六月二日 月 ムシアツシ （京都日記） 赤松君午前十時頃来訪 同道十合ヘ行キ又拓博ヲ覧ル 竹澤君ヲ勿論大庭永成 大塚卯三郎ノ二君ニ逢ヒタリ 夜竹澤君ニ招カレ有名ナル魚岩ニテ晩餐ヲ取ル
1913（大正2） 年6月3日
六月三日 火 （京都日記） 廣瀬 赤松 宇和川ノ三氏来訪 即チ招カレテパンノン亭ニテ午餐ヲ取ル 後諸子ト吾八ヲ覧又赤松子ノ家ニ到リ作品ヲ観タリ 午後七時四十一分発帰京ノ途ニ上ル
1913（大正2） 年6月4日
六月四日 水 曇 午前九時新橋ニ帰着ス 午後合田君来ル 故小倉翁ノ遺骨標札ヲ書テ渡ス 岩君ト打合セテ七時川合玉堂氏ヲ訪問シ後通知書案ニ付岩 和二氏来レリ
1913（大正2） 年6月5日
六月五日 木 雨 午後訪客 森岡 月谷 藤島ノ三氏 藤島君ト共ニ晩餐ヲ取リ七時過日本倶楽部ニ召集ノ Rodin 展覧会委員会ニ出席 十二時帰宅ス
1913（大正2） 年6月6日
六月六日 金 雨 留守中ノ書類及会計ノ整理ヲナス 夜和田君来リ会務ニ付相談セリ
1913（大正2） 年6月7日
六月七日 土 雨 午後三時半高輪泉岳寺ニ於テ小倉惣次郎君葬儀執行 後チ中宣亭ニ集リ又例ニ依リ三田今福ニテ晩餐会ヲ開タリ 来会者ハ岩村 合田 佐野 沼田 和田 安齋 成田 井上等ナリ
1913（大正2） 年6月8日
六月八日 日 晴 訪客 荻原使トシテ音楽家某 直綱妻 秋ノ亭王 須山君 和田君ト午餐ヲ共ニシ対日本画家策ニ就キ意見ヲ述 同氏ニ川合氏迄足労ヲ頼ミタリ 後農商務陳列館ニ京都出品物ヲ覧ル 晩食ニ大給来レリ
1913（大正2） 年6月9日
六月九日 月 晴 午前九時ヨリ十時女子部会議 十一時仏大使訪問 午後一時五姓田君来訪 亦坂井久良岐君来ル 四時ヨリ大正博披露会ニ出席 合田 和田 菅原ノ三氏トカツフエライオンニ寄リタリ