1895(明治28) 年2月11日


 二月十一日 (従軍日記)
 昨日のつかれなどぐつすりと寝込みたる処ニ戸の外でオレを呼ぶ者が有り ビツクリして起て見たら朝早七時ニて藤山君がやつて来た 寺内少将ニ今暇乞ニ行たらオレハ一緒ニ帰らぬかとの伝言だつたとの事 其処で直ニ仕度をして立つ 寺内氏と一緒ニ来て居られた丸山知彦氏と虎山を出懸た時ハ八時頃也 温泉湯を経川を幾度も渡り蔭山口ニ着た時ハ十一時頃也 三時頃ニ寺内氏も来られ錦川丸と居ふ小蒸汽ニ乗リ込ム 七時頃ニ龍睡湾ニ着ス 直ニ病院船として此処ニつなぎ有る神祐丸と云ニ移る 松方 荒川氏より伝言有り 松方氏よりハヒモ靴を送る可き事陸軍省へ頼む可し云々 荒川氏よりハ夏服ノ事