1900(明治33) 年6月26日
六月二十六日 (欧洲出張日記) 午後二時頃から船員の肖像をかく 此の男は大層画好で自分でも少しなすくるのだが中々得意なのだ 先日からオレにかいてくれと云て居たからとうとう今日始めた 四時半頃ニ一と通り出来て額に入れて窓の上につるそうとしたらくぎがぬけて其男の頭の上に落ちて画は半分消えて仕舞つた 夜食後は祝宴で大騒ぎ オレは十一時過ニ寝床に這入つた 今日の午後は寒暖計が三十二度だつた
本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。
六月二十六日 (欧洲出張日記) 午後二時頃から船員の肖像をかく 此の男は大層画好で自分でも少しなすくるのだが中々得意なのだ 先日からオレにかいてくれと云て居たからとうとう今日始めた 四時半頃ニ一と通り出来て額に入れて窓の上につるそうとしたらくぎがぬけて其男の頭の上に落ちて画は半分消えて仕舞つた 夜食後は祝宴で大騒ぎ オレは十一時過ニ寝床に這入つた 今日の午後は寒暖計が三十二度だつた