本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1892(明治25) 年12月9日

 十二月九日 金 雪降りおまけニ風有り中々寒し 朝ちよいと画部屋ニ行 昼後ハ菊花ヲ論ス 和郎ハ四時頃ニ出て行く 間も無コルダがオレの昨日買て来た鉢ヲ見ニ来り それから一緒ニ宿屋ニ行 和郎と三人でアプサントヲ飲む コルタの御馳走也 美陽家ニ夜食後和郎の来る前ニちよいと行く 鞠と霜菜と夜なべをして居た処ニ立て居テ話して帰る 和郎ハやつて来て又今夜も色文ヲかく いろいろしやべるのを聞ながらかぶの料理ヲこしらゆ 又茶碗皿の洗方ヲやらかす 後被物ニついてる蝋燭ヲおとすやら 股引ノボタンをぬふやら 鼠取の用意ヲするやらして一時頃ニねる 夕方日本からの御手紙ト新二郎からの手紙届ク 日本からのハオレが武烈坡から帰てから写真ヲ三枚送たノニ返事 新二郎ハ未だオレがあと月の十六日ニ出しタ手紙ハ読まぬ姿

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