本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1892(明治25) 年12月2日

 十二月二日 金 雨 朝霜菜ニ起さる 十時頃ニ画部屋ニ行く 和郎が来た 昼めしは鞠の処で食ふ 午後霜菜ヲ手本とし勉強す 和郎も来て居て人形ヲ寝せる寝台ヲ造ると云て木ヲきるやらたゝくやらして暮シ上つた 四時前ニ誰が来たと云人が霜菜ヲ呼ニ来て帰る 暗く為て仕事ヲ仕舞てから和郎とマルロツトの道ヲ散歩シ内へ帰る 和郎やつて来てかちんかちんと七時の食事の時迄やらかす 又八時少し過頃ニやつて来て十時半頃迄(中略) 今朝簔田からの手紙が着た 千田の不幸ヲ聞く 終日其事が頭ニ浮で来て変也 和郎の上気ナ話ヲ聞て笑て居るとハ云ものゝ千田の事の考が其処ニ控へて居るわい 千田の事ヲ話し度ても誰れも居ず

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