1913（大正2） 年12月30日
十二月三十日 火 晴 訪客ハ村上大達 小川氏 中村君 梶山氏 大槻子 長原君 安藤復藏氏等也 中村 梶山ノ二氏ト共ニ午餐ヲ取リ午後大槻ノ為長田ヘ電信ヲ発シ夜両氏ト十二時マデ閑談セリ
本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。
1913（大正2） 年12月31日
十二月三十一日 水 晴 寒気強シ （鎌倉） 諸種ノ整理ニ力メ出発準備ニ忙ハシ 午後七時四十分新橋発ノ積ニテ出懸ケタルニ乗リ後レ女中竹 稲ノ二人ノミ此列車ニテ発ス 照子 君子同道次ノ汽車ニ乗ル 十一時頃鎌倉ノ借家ニ入ル 蕎麦ヲ取寄ナドシテ三時半ニ至リ寝ニ就ケリ
1914（大正3） 年1月1日
一月一日 木 晴 四方拝 （鎌倉） 鎌倉乱橋橋口家貸家ニ於テ年ヲ迎フ 照子 君子 竹 稲ノ四名召連 夜兼清来ル
1914（大正3） 年1月2日
一月二日 金 雨 午後ヨリ風フク （鎌倉） 終日寝転ンデ鎌倉文明史論ヲ読ム 夜兼清来ル
1914（大正3） 年1月3日
一月三日 土 元始祭 晴 夕刻風止ム 午後町田氏及久米民十郎子来ル 夜佐吉ノ妻女来リ興味アル身上噺ヲナセリ
1914（大正3） 年1月4日
一月四日 日 晴 （鎌倉） 佐介谷ニ伺候ス 父上様未ダ御越ナク空シク帰ル 午後新宅ニテ女子連茶ヲ飲ム 夜佐吉夫婦来ル 又子供達ハ女中等ト双六遊ヲ催セリ 新年暁 年立ちてのとけき空に昇る日は御国の旗の其まゝにして
1914（大正3） 年1月5日
一月五日 月 晴 午後照子同伴帰京ス 年賀且ツ帰着ノ御暇乞ノ為笄町ヘ伺候シ日没後辞去 夫レヨリ橋口家ヘ赴キ御儀式ニ預リ十時過帰宅ス 若菜 春の野に若菜つみつゝ行く人の心や春の心なるらん
1914（大正3） 年1月6日
一月六日 火 晴 （鎌倉） 研究所久保幹事ヲ呼ビ内意ヲ示ス 又太田子 大給子 智子殿等ノ訪問ニ接シ六時過新橋発鎌倉ニ来ル 陸奥伯ト同車セリ
1914（大正3） 年1月7日
一月七日 水 雨 （鹿児島旅行記） 午前八時一分鎌倉ヲ発シ大船ニテ乗リ換国府津ニ到リ下関特別急行ヲ待受ケ鹿児島ヘ下ル 同車 望月圭介氏（大阪迄）ト岡山県選出代議士鮫島武之助氏（鹿児島迄）
1914（大正3） 年1月8日
一月八日 木 途中雪 （鹿児島旅行記） 午後九時過鹿児島ニ着ス 直ニ平之町ヘ伺候シ例ノ如ク薩摩屋別荘ニ宿泊ス
1914（大正3） 年1月9日
一月九日 金 晴 （鹿児島旅行記） 西医学博士ヲ訪問 病床ニテ面会セリ
1914（大正3） 年1月10日
一月十日 土 曇 小雨 （鹿児島旅行記） 午後梅北雄造ヲ案内トシテ岩崎谷ヨリ伊敷新墓地ニ到リ展墓セリ
1914（大正3） 年1月11日
一月十一日 日 曇 小雨 （鹿児島旅行記） 今午前四時頃ヨリ絶間ナク地震アリ 洋画家諸氏ニ招カレ鶴鳴館支店ニ於テ午餐ノ饗応ヲ受ケタリ
1914（大正3） 年1月12日
一月十二日 月 晴 （鹿児島旅行記） 桜島噴火 午前九時十分武停車場ニ於テ桜島山上ニ始メテ少量ノ煙ヲ見ル 横山君等ト芹ケ野ニ到リ変ヲ聞キ引返ヘス 午後六時半頃強震アリ 今夜一同ト武村ニ避ス
1914（大正3） 年1月13日
一月十三日 火 降灰 天暗シ （鹿児島旅行記） 午前十一時頃武村ヲ発シ田上村ヘ避難ス
1914（大正3） 年1月14日
一月十四日 水 晴 （鹿児島旅行記） 午後一同平之町ニ帰還シ今夜同処ニ一泊ス
1914（大正3） 年1月15日
一月十五日 木 晴 （鹿児島旅行記） 山下兼秀君等ト磯沿岸ヲ視察ス 途中伊集院公使ニ遇
1914（大正3） 年1月16日
一月十六日 金 晴 （鹿児島旅行記） 午後水雷艇鶉ニ便乗谷口知事 大森博士等ト桜島西北東方面ヲ巡視ス 司令官吉田清風氏ハ笄町邸隣地ニ居住ノ由ナリ
1914（大正3） 年1月17日
一月十七日 土 降灰甚シ （鹿児島旅行記） 敏子ト降灰中ノ市街ヲ徘徊ス 途上始メテ塵除眼鏡ヲ売ル者ヲ視ル
1914（大正3） 年1月18日
一月十八日 日 晴 （鹿児島旅行記） 有盈子 敏子ト加裟八ヲ連レテ南林寺ヘ墓参 夫レヨリ浄光明寺ニ到大牟禮子会合 今夜ヨリ配電ス 之レガ為市街稍復旧ノ状ヲ呈スルニ至レリ