九月十二日附 ハーグ発信 母宛 封書 (前略)わたくしことハいつもながらだいげんきにてこのごろハをらんだのこうしくわんのしまむらさんといふおひとのうちニごやつかいニなつてをりましてむかしのひとのかいたなだかいゑをうつしてをります どうぞどうぞごあんしんくださいまし 十月の十日ごろニぱりすへかへるつもりでございます そのとちゆうでぶりゆくせると申ところニちよつとよりましてばんはるとらんさんのむすこと一しよニぱりすへかへるつもりです バんはるとらんさんのむすこハぱりすのはくらんくわいのけんぶつニくるのです そうしてわたしのをるきたないうちにきてとまるつもりです(中略) こゝのしまむらさんにハまいとしごやつかいニなります まいにちりつぱなにつぽんりようりのごちそうニてまことニとのさまニでもなつたようなあんばいです(中略) わたしがこんどうつすゑはひとのかほです こんなふうのです〔図〕 これハもうあしたぐらいはかきとつてしましますからそうしたらまたほかのをかくつもりです(後略) 母上様 新太
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一月五日 水 晴 午前十一時四十分参内千種ノ間ニ於テ酒饌ヲ賜フ 午後奧座敷ニ籠リ兼清ト酒食シ又蓄音器ニテ浪華節ヲ聴ク