1900(明治33) 年5月31日


 五月三十一日 (欧洲出張日記)
 今日もいやな暑さだ おまけに昨日あついのニ上海を見物して歩いた結果の例の持病の頭痛が始まつた 船の看護人に云て氷を貰つて頭を冷した 又看護人がレモン水や熱さましの薬なと持て来て呉れた 昼めしハ食ハず ソツプ丈部屋で飲で寝て居た 早く用心したから早く気持がよく為り晩めし時ニハ平常の通に為つた 午前十一時ニ出帆した