1899(明治32) 年12月6日


 十二月六日(京都出張日記)
 八時頃起る 九時過ニ丹羽圭介氏来訪 又堀江が竹内棲鳳氏同道ニて来る 市役所の大沢芳太郎氏来る 大沢 竹内 堀江の三氏を招待して河原町ノホテルにて食事す 今日丹羽氏が今度巴里の博覧会へ出す陶器類を見せるから来いと云約束が有つたから二時過から其方へ行く 丹羽氏ノ住居ハ伏見街道也 大学総長の木下氏 飯田新七氏 錦光山等居合せたり 夫れから高島屋の方へ廻り久米は故郷への土産物など買ふ オレハ羽織の注文をやる 此ノ店ニ居る間に暗くなりかゝつて来た 一寸宿ニ立もどり祇園の中村屋へ出かく 市長の内貴甚三郎氏 飯田政之助氏 松尾寛三氏 丹羽圭介氏 竹内棲鳳氏 錦光山宗兵衛氏 堀江氏等の集会也 飯田 丹羽氏の御馳走のよし かへりがけに丹羽 錦光山 竹内 堀江等の諸氏と一力に立寄る 此処の払は我レ我レニテ引受ける積なりしに之れも果さず 十二時過帰る