本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1899(明治32) 年12月10日

 十二月十日(京都出張日記) 朝九時頃起る 中井氏 岩佐恩順氏来る 十一時前より三人にて堀江君方ニ行く 堀江ハ今日すゝはきにていそがしくして居る 途中父上注文の短冊を買ふ 又三人にて京極を通り四条大橋ニ至る 時ニ十二時半頃也 宿の女将橋の脇にて我々を待つて居り花蓮亭なる料理屋ニ導く 錦光山氏先きニ来て居た ボツボツ飲で居る処 北本雄氏つゞいて黒田天外氏及大沢氏来る 同勢七人と為る 二時過に此の家を出て祇園町を東へ行き万亭ニ入る 宿の女将 大沢氏 北本氏等は早く帰る 大沢氏ハ明日東上のよしニて別を告ぐ 居残りたる四人は十時頃まで遊ぶ 天外氏ハ千鳥足と為る 中井 天外の二君ニハ大和大路の角にて錦光山氏ニハ四条の小橋ニて別れオレハ一人で京極へ廻り木屋町へ帰る

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