1904(明治37) 年11月10日 Thursday


十一月十日 晴 午後は曇

学校の帰り展覧会に立寄り今日の収入を受取る。夫から三宅と同行日本橋倶楽部に催せる白馬会大会に赴く。出席者は昨年より多数な位である。和田と中丸とが大に働いた。食事は弁松の弁当は大当りであつた。五時過から会食を始めて暫時にて済む。夫からは余興が始まつた。今年のは元手が掛らないので淋しく且幕合ひの長いので退屈させたやうである。大出来なのは正木の狂言に矢田部の人形で大喝采。芝居は練習の不足が目立つた。併し和田三造の老父橋本邦助のお乳女及び正木の医者など甘かつた。十時に終り自転車にて帰宅す。

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例)「1904/11/10 久米桂一郎日記データベース」(東京文化財研究所) https://www.tobunken.go.jp/materials/kume_diary/872176.html(閲覧日 2024-05-19)